第2年金(DB)について
当基金は、平成16年10月に開始した制度(標準年金=第1年金)に加え平成24年3月に制度が廃止された税制適格年金の受け皿として平成22年4月より第2加算制度(第2標準年金=第2年金)を14の事業所が加入の上、創設しました。

1.税制適格退職年金制度(適年)とは、どのような制度であったか
多くの企業は退職金制度を持っています。企業は退職金原資を退職給付引当金として毎年経理上積み立てています。税制適格退職年金制度(適年)とは、企業が退職給付引当金として積み立てる額の一部を生命保険会社や信託銀行等金融機関に掛金として拠出し、金融機関は年金資産として運用し積立てを行い、従業員が退職するときに一時金ないし年金として支給する制度でした。
従業員が退職金全額を一時金で受け取りをする場合、その支払い元が会社と金融機関の二つに分かれているだけで退職金の受取総額は変わりません。しかし、適年に加入していることにより、金融機関が支払う退職金を10年間なり15年間なりの有期年金として従業員は定期的に金融機関から受け取ることができる選択権が与えられていました。(注:会社は税制上の優遇を受けられるので「税制適格」との名称が付いていました。)

2.適年の廃止(平成24年3月)
適年は昭和37年に創設され、厚生年金基金制度とともに広く普及し日本の年金制度の一翼を担ってきました。しかし、資産運用環境の悪化などによる積立不足の解消義務を法令上企業に課していないなど受給権保護の仕組みが不十分という問題がありました。そこで、厚生労働省は新しい企業年金制度として平成13年に確定給付企業年金法を成立させ、平成14年4月以降適年の新規の設立を認めなくなり、既存の適年についても平成24年3月末をもって廃止することとしました。放置すると適年は解約廃止され資産を加入者に分配しなければならず、この分配金は一時所得として課税され退職年金給付制度としての機能も消滅することになっていたので、これを回避するためには他の企業年金制度へ移行する必要がありました。

3.当基金第2年金の創設(平成22年4月1日)
当基金のような確定給付企業年金制度は、加入者の年金受給権が保護され老後所得の確保がより確実なものとしているという点で適年廃止後の受け皿として最適の制度と言えます。 企業が適年の受け皿用に新たに単独で基金型や規約型の年金制度を設立し既存の適年を移換する方法も考えられましたが、中小規模の企業の場合、単独での運営はスケールメリットも得られず、コスト的な負担・実務的な負担が大きく資産運用が仮に予定どおり順調であったとしても採算線に乗る可能性は低いものでした。当基金のような連合型で受け皿を行う場合、単独型に比べスケールメリットが得られ、事務・資産運用の面でコスト的な負担・実務的な負担が小さく、また持続性の面からも有利だと考えられたので、当基金が第2年金として連合型の受け皿制度を創設し希望する事業所の適年の権利義務承継を行いました。

4.第2年金の概要
- ①複数のコースを用意し加入各社は自身の旧適年に最も近いものを選択できる。また総合職、事務職などの職掌別にコースを選ぶことができるし、一定年齢、一定勤続年数に達したとき、あるいは昇格時などに途中でコースを変えることもできる。
- ②年金原資の積立ては利息(=再評価率)固定型のキャッシュバランス型。各人の積立額は、基準給与額+利息であり個人仮想勘定残高と言う。また加盟各社毎の数理債務、年金資産額が算出できる。
- ③資産・債務は第1年金とは経理上は分別されるが、第2年金資産の運用ポートフォリオは、第1年金と同様のものであり、運用は第1年金分資産と併せ一括で行われる。
- ④加入者が第2年金加入の事業所間で転籍した場合、年金積立金を引継ぐことができる。
- ⑤既に適年より年金を受けている加入者への給付は第2年金が引き継いでいる。
- ⑥第2年金は規約により懲戒解雇のケースでは給付は行わない。
- ⑦年金化の権利を得た場合、第2年金積立金のうち一部を一時金、残りを年金化する選択権があり、選択割合は第1年金と同様0%、25%、50%、75%、100%である。
- ⑧適年以外の制度、例えば単独型の確定給付年金からでも権利義務承継することができる。

5.第1年金と第2年金の比較
- ①当基金規約上の用語比較
第1年金 | 第2年金 | 備考 | |
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正式名称 | 標準年金 | 第2標準年金 | |
掛金算定の基礎となる給与 | 標準給与 | 第2標準給与 | 当基金においては: 標準給与=基準給与 第2標準給与=第2基準給与 |
給付額算定の基礎となる給与 | 基準給与 | 第2基準給与 | |
加入者、区分等の名称 | 加入者 | 第2加入者 | |
共通給付区分 | 上乗せ給付区分 |
- ②制度の比較
第1年金 | 第2年金 | ||
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制度の基本的性格 | 厚生年金基金代行返上後の 上乗せ部分継承。退職金の外枠 |
税制適格年金廃止後の受け皿 退職金の内枠 |
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制度開始時期 | 平成16年10月 | 平成22年4月 | |
給付額算定方式 | 平均基準給与比例給付 | 利息固定型キャッシュバランス プラン(第2基準給与元利合計給付) |
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退職給付会計 | 複数事業主制 (事業所毎の債務額認識不可) |
多数事業主制 (事業所毎の債務額認識可) |
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予定利率 | 年2.5% | 年2.5% (再評価率3.0%) |
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受給中利回り | 年5.5% | 年3.0% | |
加入時期 | 入社時 (加入資格詳細は各事業所毎) |
入社時 (加入資格詳細は各事業所毎) |
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入社時より掛金賦課 | 勤続3年経過時より掛金賦課 | ||
給付種類 | 老齢給付金(年金または選択一時金)・脱退一時金・遺族給付金 | ||
老齢給付金(年金) 給付条件 |
加入者期間15年以上で60歳に到達したとき | 同左(経過措置として、適年からの移行者は加入者期間15年未満でも定年退職に限り年金給付あり) | |
年金支給開始年齢・期間 | 満60歳・15年保証付終身 | 満60歳・15年確定 | |
年金化選択割合 | 0%、25%、50%、75%、100% | ||
一時金給付条件 | (脱退一時金)加入者期間3年以上15年未満で中途退職 (選択一時金)加入者期間15年以上60歳未満で中途退職 |
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遺族給付金(一時金)給付条件 |
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月間掛金 | |||
標準掛金 | 標準給与×2.7% | 第2標準給与×110.0% | |
特別掛金 | 無し | 無し | |
事務費掛金 | 標準給与×0.15%/月 | 加入者一人あたり250円/月 | |
老齢給付金(年金) | 平均基準給与×加入者期間別乗率×年齢別乗率 | 第2基準給与元利合計(仮想個人勘定残高)÷15年確定年金現価率 | |
選択一時金 |
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脱退一時金 |
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遺族給付金 (一時金) |
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